【初心者向け】スラップベースのやり方!種類・コツを解説します

「スラップ」は、ベースにおける“花形プレイ”と言っても過言ではない。

 

ベースはバンドの中では、率直に言って一般的にやや地味なイメージだが、スラップは見た目・音ともに別格のインパクトを与えることができる。

 

「スラップに憧れ、ベースを始めました。」という方は多いのではないかと思うが、どうしても技術的には相当に難しい技術であることに間違いはない。

 

それでも、しっかりと練習を重ねれば必ず身に着けることがでるので、今回は花形プレイと言えるスラップの種類・やり方・コツなどを説明していこう。

 

目次

スラップ(チョッパー)とは?

数多くあるベースの技術の中でも、迫力があり特に有名なスラップと呼ばれる奏法である。諸説あるものの、その発端だとして度々名前が挙がるのが“ラリー・グラハム”である。

 

後ほどまた説明したいと思うが、スラップ奏法は「親指を使った“サムピング”」と、「人差し指を使った“プリング”」という奏法の二つで構成されている。

 

前出のラリー・グラハムが、バンドのドラマーが不在の際に『サムピングをバスドラム』に、『プリングをスネア』に見立てて、ベースのみでドラムの音を表そうと試みた結果誕生したのが、このスラップ奏法だと言われている。

 

そして一時代前は“チョッパー”などの呼ばれ方をしていた時期もあったが、それは国内独自の呼び名であった。

海外では「Slapping & popping」や、「Thumbpin’ & pluckin’」という呼び名が一般的な呼び方のようである。

 

さらに近年の日本では、多くのベーシストたちがこのスラップ奏法を積極的に取り入れているように思う。

少し前までは、「ベース=地味」であるという印象が強かったことは確かかもしれないが、その印象を払拭しつつある理由の一つには絶対的にこの技術の存在があると言えるだろう。

 

日本でスラップを使う著名なベーシストとしては“KenKen”などが挙げられるが、彼のような有名人に憧れてベースを始めたという方も多いのではないだろうか。

 

スラップのやり方は?

では早速スラップのやり方を具体的に説明していこう。

 

「スラップとは?」でも少々書いたが、サムピングとプリングという二つの奏法で構成されているスラップ。

このサムピングとプリングの二つの奏法の組み合わせでスラップが成立していることになるため、このあと各々の演奏法を順番に解説していく。

 

サムピング(サム)

最初にサムピングを紹介する。サムピングは、省略してサムと言われることもある。

 

このサムピングとは、親指を使って弦を叩くようにして音を出す奏法で、3・4弦を叩くのが普通だが、1・2弦を叩くことも稀ではない。

後ほど詳しく説明したいと思うが、ひとまとめにスラップとは言えその中には幾つかの種類があり、サムピングという技術はスラップの種類によりそれぞれの奏法に相当な違いがある。

 

それぞれの奏法の異なる部分を具体的に挙げると、弦に当てる親指の当て方やその角度なのだが、いずれにしても重要なのは指を確実に狙った弦に当てることである。

それは、スラップを始めたばかりのスラップ初心者が抱えがちな「確実に狙った弦に指を当てることができない」、「キレイな音が出せない」という問題を解決するためには、練習の際、特にそこに重点を置いて取り組む必要があるからである。

 

プリング(プル)

サムピングと一対(いっつい)になるように奏でるのがプリングである。このプリングもサムと同様に、短くしてプルと言われることもある。

 

人差し指、もしくは中指を弦の下にもぐり込ませて、弦を引っ張るようにして音を出す方法だ。

またサムピングとは逆で、通常1・2弦を鳴らすことが多いものの、こちらについても3・4弦を鳴らすことも稀ではない。

 

サムピングで弦を叩くタイミングで、弦の下に人差し指をもぐり込ませて、その返しで弦を引っ張り音を出すが、

サムピング=親指で弦を叩く➡プリング=人差し指または中指で弦を引っ張る➡リピート

 

スラップ奏法とは、通常この二つの組み合わせで成立する奏法なのである。

「弦の下に指をもぐり込ませるとは、どういうことだろう。」と思われるかもしれないが、画像をご覧になればご理解いただけるだろう。

 

しかしながら慣れるまではこれが実に難しい。

 

始めたばかりだと、弦の下に指をもぐり込ませること自体がそもそも上手にできないだろうし、弦を引っ張る力加減もわからず、指が突っかかってしまうことも多いと思う。

その上、それをサムピングと組み合わせてやらなければいけないとなれば、難易度は倍増することになる。

 

スラップの種類

さて、続いてはスラップの種類に関して書いていこう。

 

少しばかり前出したが、スラップという技術は実際には幾つかの種類に分類することができる。

それぞれの種類によって、サムピングの方法は取り立てて違ってくるうえ、各々に長所・短所があるので、その種類を詳細に説明していこう。

 

跳ね返り型

一つ目は、跳ね返り型スラップについて。

近年、国内ではこの跳ね返り型スラップが標準的な方法だと言えるだろう。

 

このやり方の目立った特色は、サムピングで弦を叩き、その後すぐに跳ね返るように元の形に戻るというところだ。

たいてい親指の第一関節の横側で弦を叩くのだが、その時に指を弦に当てるのはほんの一瞬でないとならない。

やたらに長く指が触れていると、ミュート状態になり音が出なくなってしまうからである。

 

プリングはサムピングと同じタイミングで人差し指を弦の下にもぐり込ませて、指が跳ね返る時に弦を引っ張る。

音の特色としては、普通のピック弾き・指弾きよりも相当パーカッシブであること。

 

すぐに手の位置が元に戻るため連打しやすく、テンポ良く軽快な音色が特色となる。

 

跳ね返り型の特色

  • パーカッシブな音色
  • 速い回転で連打しやすい
  • 音や動きを安定させやすい

 

フリースタイル

更に跳ね返り型の中でも、ものすごく親指が下を向く奏法は「フリースタイル」と呼ばれる。

レッドホットチリペッパーズのベースを担当する “フリー”がやったことで知られたため、この通称が定着した。

 

手がだら~んとなっているため疲れにくく、普通のスラップよりも大胆な動きで見た目のインパクトが大きいのが特徴である。

 

早いスピードの連打も可能なので、高速のスラップにも向いている。

ベースが低い位置であってもスラップが可能であるというのも強い利点である。

 

親指が上を向いている他の方法では、率直に言ってストラップが長いと超絶スラップがやりづらいのだ。

豪快な動きで、更にストラップが長くベースの位置が低いということもあり、この奏法が一番かっこよく見えると言われている。

 

余談だが、フリースタイルでは中指でプリングをするベース奏者も多く、レッチリのフリー本人も中指を使用している。

フリースタイルのスラップをスティングレイでガンガンにやりたいと考えるベーシストはたくさんいることだろう。

 

フリースタイルの特色

  • より連打しやすい
  • 豪快で格好良い見た目
  • 長いストラップでも可能(むしろ長い方がやりやすい)

 

振り抜き型

続いては振り抜き型スラップ。

 

このやり方は、サムピングの場合に叩くように音を出す跳ね返り型とは違って、親指をピックのように見立てて音を出すというのが特徴である。

言ってみれば三味線の弾き方に似ているかもしれない。

 

弦の上から親指を当て始め、そのまま通過して下の弦で止めるのがサムダウン。

下から手を戻してくる時にもう一度音を出すのがサムアップと言われている。

 

サムダウンの時には指の腹側、サムアップの時には爪側を弦に当てることになる。

プリングは跳ね返り型と同じで、指を弦の下にもぐり込ませ、手を返す時に弦を引っ張る。

 

サムダウン➡サムアップ➡プリング➡リピート

この動きの流れを行う技術をロータリーと呼ぶが、初心者にはやや難易度が高いかもしれない。

 

ちなみに振り抜き型のサムピングは縦に弦を振るわせるので、跳ね返り型と比べ太い音色になるのが特徴である。

ロックでゴリゴリ弾きたい方には、振り抜き型のほうが好みの音なのではないだろうか。

 

振り抜き型の特色

  • 図太い音
  • テクニカルな演奏が可能

 

ベースのスラップ上達のコツは?

そして、最後になったがスラップを上達させるためのポイントを紹介していこう。

当然のことながら練習を繰り返さなければ上達することはあり得ないが、初心者は重点的に下記のことに注意して訓練していくと良いだろう。

 

サムで狙った弦を確実に鳴らせるようになる

ひとつは前にも少し触れたが、サムで狙った弦を鳴らせるようになるということ。

 

使うベースによって若干の差はあるにせよ、弦と弦の間隔はだいぶ狭くなっている。

それゆえ、どの奏法のスラップにしても、始めのうちは狙った弦に確実に当てられるようになるのもかなり困難だろう。

 

サムでは通常3・4弦を鳴らすことが多いが、どこの弦でもドンピシャで当てられなければきちんとした音は出ないし、他の弦に触れてしまったら雑音も出てしまうことになる。

狙った弦に確実に当てられるようになるには、もう何度も練習を重ねて感覚を会得するほかないが、慣れてしまえば目を閉じてでもできるようにる。

 

プルの感覚を知る

そして、プルの感覚を会得することも大切だが、その際に具体的に意識していただきたいのは

  • 弦の下にどれくらい指をもぐり込ませるのか
  • どのくらいの力加減で弦を引っ張るのか

の二つである。

 

プルの感覚についても始めのうちは相当大変な思いをすることになるだろうが、プルの動きを安定させられなければ音が滅茶苦茶になってしまう。

 

あまりに指を深くもぐり込ませ過ぎれば指が引っかかり過ぎて滑らかに弾くことはできず、かと言って小さ過ぎる力では指が弦に負けてしまい上手く次の音に移動することもできない。

サム➡プルの組み合わせを意識して、どの様な楽節も弾きこなせるようになりたいものだ。

 

ミュートすることを忘れない

更に、スラップをするに際しすごく重要なのがミュートである。

 

普通のピッキング・フィンガリングに比べ、スラップは弦が相当大きく振れるが、それは共振してしまいやすい、すなわち雑音が出てしまいやすいということを意味する。

そうなると音を出す弦以外を普段以上にきっちりミュートできなければいけないということになる。

 

だがここで問題になるのが、スラップは右手でのミュートが不可ということである。

全然できないということではないのだが、スラップをしている場合、右手は通常ベース自体から離れているだろう。

 

つまり、左手でのミュート技術が相当重要になるのだ。

他の余計な弦から音を出してしまわないようにしっかりと触れておき、共振が起こらないようにしよう。

 

まとめ

スラップについての基礎的な内容を説明してきた。

 

今回の記事の内容で、少なくとも頭に入れておいていただきたいことは

  • スラップとはサムピングとプリングの二つから構成される技術
  • スラップには跳ね返り型=フリースタイル・振り抜き型などいくつかの種類がある

この二つとなる。

 

今回は初心者の皆さんに注意していただきたいことも解説してきたので、今後練習を始める方は主にここに注意して訓練するよう心掛けて欲しい。

 

ベースを始めたばかりの方々には難易度は高めかもしれないが、しかしながらこれを習得できたならば、こんなにもかっこいい技術はそうそうないであろう。

 

「難しそうだから今はまだいいかな」などと遠慮することは全くもってないので、是非すぐにでも挑戦してみてはいかがだろうか。

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